地震で建物に深刻なダメージを負ったときや浸水で自宅に住めないような状態になったときは、
近くの避難所へ一時的に避難して数日過ごしますよね。
そして同寺進行で、住まい探しをするのが基本的な流れです。
しかし避難所生活はストレスが溜まるため、早くどこかへ移動して落ち着きたいというのが本音である。
そういうときに、相談できる不動産会社がいると心強い。
深刻な自然災害の場合に限定されるが、福島県では住宅借り上げ制度があります。
住宅借り上げ制度は、県から不動産の各団体へ告知され、各団体から団体に所属している不動産会社へアナウンスがあり、不動産会社へ住宅借り上げ制度の情報が行き渡ります。
情報は不動産会社が最も早いため、避難所生活をしている場合は、事前に「住宅借り上げ制度がでたら、すぐ知らせてほしい」などの一声かけるだけでもしておくべきです。
住宅借り上げ制度とは?
次に住宅借り上げ制度の概要をみていく。
直近では、令和元年東日本台風のときに住宅借り上げ制度が出されました。
概要は下記のとおりである。
【台風19号、住宅借り上げ制度の概要】令和元年東日本台風=台風19号
○条件
・自宅が全壊等もしくは半壊が対象であり、浸水被害で居住することができないような状態にあること
・自らの資力では物件探しができないこと
・昭和56年以降の建物に限定して契約をする
・家賃6万円まで。1世帯5人以上の場合は9万円まで
・敷金2カ月、礼金1カ月まで
・水道光熱費は入居者負担
○流れ
①まず市役所へ申し込みをする→申込書の記載等を行う
②①と同時進行で不動産会社へ行き、条件に合う物件を見つける
③申込書の審査を市町村で行う
④審査がクリアすれば、不動産会社が書類を作成し、重要事項説明書・賃貸借契約書の説明を受ける
⑤市町村で契約書の審査 ※審査とは提出している書類の情報が本物であるかなどのチェックをしている
⑥福島県で賃料のお支払い
⑦契約書の引き渡しと物件の鍵の引き渡し
住宅借り上げ制度とは、深刻な自然災害の被害にあったかたを対象に、福島県で住宅を借りて被害者に入居してもらうという制度になります。
もちろん入居者は家賃を支払うことはなく、ありがたい制度です。
しかし台風19号は条件的には厳しいものであった。
罹災証明を発行し、全壊もしくは半壊で住めない状態にならないと利用できないからだ。
被害を受けた方で自力で物件を探している方は数名いらっしゃったが、制度を利用している人は少ない印象でした。
最も効率の良い方法は市役所の職員が不動産会社へ物件情報の提供依頼をして、避難所で相談所を設けることだ。
職員が物件の紹介をして、マッチングすれば管理している不動産会社へ連絡するという流れだ。
しかしこれは、現実的には利益相反の疑いが出るため、行われることはないでしょう。
現実では「住宅借り上げ制度の仕組みができたので、あとは自分で探してね」というものになります。
家賃等の条件に関しては全く問題のないのだが、昭和56年以降の建物という制限が付いています。
これは昭和56年6月以降の建物は新耐震基準で建築されており、大規模な地震にも耐えられるように建てられた建物であるため、このような制限を付けています。
次にワークフローをみていきたい。
初めてみる方には、少々わかりづらいが、
スタートは罹災証明書を発行し、市役所から配布される住宅借り上げ制度の申し込み書を記載することから始まります。
そして同時進行で不動産会社へ行き、住宅借り上げ制度の条件に合う物件を見つけて申し込みを入れます。
ここで注意したいのは不動産会社でも、制度を理解していない業者がいることだ。
理解できていない業者の確認する方法は「住宅借り上げ制度」というワードに対して、
「そんな制度があったんですか?」とか「どういう制度?」という感じで聞き返すようなことがあれば、その会社に依頼するのは避けた方が良いかと思います。
住宅借り上げ制度の契約書について
住宅借り上げ制度の契約書は福島県では書式を設けており、書式に従って不動産会社は契約書を作成していきます。
住宅借り上げ制度の借主は「福島県」になります。
さらに特徴としては定期借家契約といい、「更新されない契約」となります。
期間が過ぎれば、入居者の方で再契約を行うことで同じところに住むことは可能であるが、
連帯保証人になる方の承諾と保証会社の審査→重要事項説明書の説明と契約の取り交わし→契約金の支払い等の作業が生じてくることは理解しておこう。
以上が住宅借り上げ制度の概要である。
自然災害時は冷静な判断をするのが難しく、何かと余裕がないかと思います。
事前に制度の理解が大切になってきますね。
「天災は忘れた頃にやってくる」
これは科学者で随筆家の寺田寅彦の言葉である。
この言葉は、常日頃からの防災対策が必要であることをわたしたちに呼びかけてくれる。