重要事項説明書はいままでの問題点を試行錯誤し、
あらゆる方面から問題が発生しないように細かいところまで確認していきます。
重要事項説明書8ページ目
建物状況調査について
まずはじめに建物状況調査(インスペクション)の結果の概要である。
建物状況調査は中古住宅の売買で任意で行われ、建築士などによる住宅診断のことだ。
基礎部分や蟻害(ぎがい)、傾き、給排水管の漏れや詰まり、屋根裏等を確認する。
中古住宅の売買が活発化されると同時に住宅の品質を問われるようになり、
平成30年4月に重要事項説明書で説明義務化になった。
有効期限は1年であり、1年を超えたものは無効で再度調査が必要だ。
※参照:国土交通省
重要事項説明書では、建物状況調査を実施をしたかどうかを確認する。
建物状況調査をしないと不動産業者側では、
基礎部分への不安要素や蟻害、屋根裏の状況を把握することが困難だ。
建物状況調査をしない場合、引き渡し後に蟻害が確認され、買主に不利益を被ることになる。
実際、わたしが建物状況調査を行った際に蟻害が発見され、問題を事前に発見することができたという経験もある。
しかし地方では建物状況調査を行うのは、ほとんどみかけない。
理由としては、まだ認知されていなく建物状況調査を積極的に行おうとする不動産業者が少ないというのと、
調査は売主の負担と責任で行うことが多く、
建物状況調査を行って、なにか不具合があった場合の負担は売主になるため、
心理的に積極的に行いたくないというのが挙げられる。
しかし安全な取引を行ううえでは、今後求められてくるろ思うので、
こういう調査もあるということを抑えておきましょう。
では、次に進みます。
次の項目は文書の保存状況になります。
保存状況を確認する文書は以下のとおりです。
【文書の保存状況】
・確認済証
・検査済証
・増改築したときの確認済証
・増改築したときの検査済証
・建物状況調査の報告書(1年以内のもの)
・既存住宅性能評価の書類
・定期調査報告書、定期検査報告書(昇降機等)
※分譲マンションの場合、管理会社が保管している
・耐震診断結果報告書
これらは重要書類となるため、有無を確認します。
確認済証や検査済証は売主が紛失した場合でも、市の方で確認できれば問題ありません。
しかし市の方でも確認ができなければ、建築確認を受けていない違法建築物という扱いとなり、資産価格が大きく下がることになるだろう。
重要事項説明書9ページ目
9ページ目は飲用水・電気・ガスの整備状況を確認します。
上水について
水道の仕組みは単純で、前面道路(建物の目の前の道路)に大きな配管が道路の下に埋まっており、
その配管から建物へ配管を引き込んで水を通しています。
確認事項としては「前面道路の配管の口径」と「敷地内の配管の口径」である。
また敷地内の配管については私有になるため、売買契約後にすみやかに名義変更を行います。
水道管を新しく引き込む場合は水道配管の工事費用に加え、水道加入金も発生してくるため、確認しておこう。
※参考:福島県郡山市水道加入金
下水について
次に下水だが、下水には3つの種類がある。
・汚水
・雑排水
・雨水
下水の排水としては、トイレの汚水、キッチンなどの雑排水、雨水と3つに分かれており、
公共下水は、それぞれの排水を処理しています。
処理方法には以下の2種類がある。
【下水の処理方法】
・分流式
汚水・雑排水は同じ汚水管、雨水は雨水管に処理する方法
・合流式
汚水・雑排水・雨水を同じ管で処理する方法
分流式は雨水を専用の管で河川へ流すが、合流式は同じ1本の管で処理をするため、
大雨の場合、汚水が処理されずに汚水が川へ放出することがあり、水質汚濁の原因となります。
ここで抑えておきたいのが、受益者負担金についてです。
下水というものは、誰でも利用できる公共施設とは違い、その利用は下水道が整備された区域に住む方に限定しています。
そのため公共下水が整備されると、分割払いで受益者負担金というものが地域で発生します。
負担するのはその地区の土地所有者全員になります。
受益者負担金が発生している中で売買で所有者が変更になれば、「所有者変更届」が必要であり、
次の所有者が負担金を納めることになるので注意しよう。
※福島県郡山市では、1㎡あたり496円と決められており、5年間の分割払いを行う
浄化槽について
公共下水が整備されていない地域では、浄化槽が使われている場合があります。
下水道は汚水を道路などの地中に埋設された下水管によって下水処理場に運び、
きれいな水にして川に放流する仕組みだが、
浄化槽は敷地内に設置し、微生物の働きなどを利用して汚水を浄化し、きれいな水にして川などに放出する設備のことです。
浄化槽は下水道の利用料金を払う必要がないが、点検・メンテナンス・清掃が必ず必要です。
浄化槽を維持するべく義務化していることは以下のとおりである。
【浄化槽維持するための義務】
・年に1回の清掃
・年4回の保守点検 ※特殊な場合だと年24回のところもある
・法定点検(定期点検)
【浄化槽の物件を見極め】※こういう物件は避けよう
・必要保守点検の回数が多い
・汚泥引き抜き作業費が高額
・浄化槽交換費用は約130万円。耐用年数は約30年
ガスについて
ガスは2種類しか存在しないことを抑えよう。
・都市ガス
・プロパンガス
プロパンガスと都市ガスは大きく性質が異なり、料金は都市ガスの方が安いです。
都市ガスは道路の下に配管があり、配管から敷地内の配管へガスを通してガスを利用しています。
一方でプロパンガスは、建物の敷地内にガスボンベを設置し、そこから配管を通じてガスを供給していく仕組みです。
都市ガスは料金は安いが、地震などで配管が壊れると、都市ガスエリアはすべてガスが利用できなくなります。
東日本大震災の時は、都市ガスを使っている地域はガスが利用できない期間が長く、復旧も大変な工事であったため復旧が遅れた経緯がありました。
ゆえに都市ガスは、すぐに復旧することが難しいため、料金は安いが災害に弱いという弱点があります。
一方、プロパンガスはボンベさえあればガスが供給できるため、
災害時でもメーターの緊急停止ボタンを解除するだけで、ガスが利用できたという人がほとんどであった。
プロパンガスは利用料金は都市ガスと比べると高いが、災害時に強く、都市ガスエリアでもあえてプロパンガスを選ぶ方もいます。
都市ガスは道路に配管があるため、地域が限定されており、
プロパンガスから都市ガスに交換したいと思っても、
都市ガスエリアでなければ、交換することは不可能だ。
一方、都市ガスエリアでプロパンガスから都市ガス変更する場合は、違約金を取られる可能性もあるため、
ガスの契約内容も確認しておきましょう。
電気について
電気については電気容量と配線経路に注意する。
配線経路によっては、電気容量が小さく、配線経路が分かれていない場合、
エアコンとオーブントースターを同時に利用するとブレーカーが落ちるという問題が発生するため、
物件を購入時には確認しておきたい。
この点については電気容量の変更と配線経路の変更工事が発生してくる可能性があることを抑えておこう。
しっかり復習しておきましょう!