最後の内容は特約条項も含め、重要な内容が盛り込まれている。
順次みていきましょう。
この記事を読むとわかること
・手付金等保全措置について理解できる
・ローン特約と流れについて把握できる
・特約事項の各項目を理解できる
目次
重要事項説明書10ページ目
①取引条件
まず最初に①になるが、取引条件ということで売買金額が記載しております。
土地と建物で価格を分けている場合は、それぞれの価格が記載されます。
②手付金と固定資産税・都市計画税の清算金
次に、②は手付金と固定資産税の税額を記載しています。
手付契約で手付金を授受する場合は、手付金の額が書かれている。
そして手付金の右隣は固定資産税・都市計画税の清算金の額を記載します。
固定資産税・都市計画税は1月1日時点の所有者へ、4月1日時点で計算された固定資産税額・都市計画税を請求します。
売主で税額を納めることになるため、売買で所有者が変更になる場合は、売主と買主で清算します。
税額は買主から売主へ清算金を決済時に渡します。
※しかし売買により1月~3月で引き渡しをする場合は前年度の固定資産税額・都市計画税、
4月以降は4月からの固定資産税額・都市計画税額を計算して売主・買主で清算する。
物件の契約を取り交わし、引き渡し日を令和3年の4月2日で確定した。
清算金は令和3年4月1日分を売主、4月2日以降は買主で負担する。
※税金の請求は売主へ行くため、税額は売主が市へ納める
③契約の解除に関する事項
ここは各項目が契約書のどこの条項に該当するのかを記載しています。
各条項についての解説は、別の記事で解説していくのでそちらをご確認いただきたい。
重要事項説明書11ページ
①手付金等保全措置の概要
手付金等保全措置とは、不動産業者が売主で売買契約を取り交わした後に、
倒産などで債務の履行を果たせない(手付金を返還できない)ときに、買主を保護するために設けているものになります。
【手付金等保全措置について】
以下のときは保全措置を講じない
未完成などの場合→受領する手付金等の額が売買代金の100分の5以下、かつ1000万円以下であるとき
完成物件→受領する手付金等の額が売買代金の10分の1以下、かつ1000万円以下であるとき
※上記のように手付金の額が保全措置をしないまま、不動産業者が倒産した場合は、
供託所へ還付請求を行うことを抑えよう。
②支払い金・預り金の保全措置
ここの項目はあまり使わないが、不動産業者が取引の際に相手方から支払い金・預り金を受領し、
保全措置を講じる場合は、概要について記載します。
③金銭の貸借に関する事項
③は買主が融資を利用して物件を購入する場合、融資内容を確認していくところになります。
決まっていないところは「未定」となる。
ここで注意したいのが、ローン特約(融資未承認の場合の契約解除)である。
下記の図を参照したい。
ローン特約は融資が利用できない場合に買主を保護するために融資の審査に落ちてしまったときは、
契約を無条件で解約することができるというものになります。
物件を購入するときは、買付証明書の提出と同時に金融機関にて融資の仮審査を受けます。
次に重要事項説明書の説明・売買契約の説明を受けてローン特約で解除期限日を設けます。
仮審査から本審査まで1カ月ほどなので、1か月後に設定することが多いです。
本審査が通れば、引き渡しの準備(測量や農地転用など)が整い次第、引き渡しとなります。
割賦販売について
割賦販売とは、代金の一部または全部を、物件引渡し後1年以上の期間にわたり、
かつ2回以上に分割して受領することを条件に販売するものになります。
※割賦販売の取引はほとんど行われない。私も取引で経験したことはありません
重要事項説明書12・13ページ目
宅地又は建物の契約不適合を担保すべき責任に関する保証保険契約等の措置
名前が難しく感じるが意味は簡単で、
不動産業者が売主で、契約不適合責任(旧民法は瑕疵担保責任)を負う義務があるが、
倒産などによって契約不適合責任を負えなくなってしまった場合に、保険への加入をして、
契約不適合責任を行うための準備をしているかどうかの確認になります。
ここは契約不適合責任があるかどうかではないことに注意いただきたい。
売買契約で商品に品質不良や品物の違い、数量の不足などがあった場合に、
売主から買主へ責任を負うというものです。
不動産の契約に関して言えば、中古住宅で引き渡し後の直後に雨漏りが発生した、
蟻害があったなどの場合は、契約不適合責任として売主で対応することになります。
しかし状態がひどい場合は代金の減額請求や損害賠償等の話にもなってくるため、
不動産業者は事前に想定できることを確認します。
不動産業者は2年間の契約不適合責任を負います。2年未満は宅建業法違反となります。
特約事項・容認事項
ここはかなり重要です!
【特約事項】
物件に関すること
・農地の場合→物件は農地であるため、売主の責任と負担で農地転用の届け出を提出すること
・がけ地の場合→2m以上の擁壁が存在しており、がけ地条例が適用されるため、敷地の有効面積の減少と、建築する場合は建築制限がある。
・浸水した土地→本物件は想定浸水深は○m~○mと想定されており、
将来にわたり浸水の可能性があることを承諾して買い受けるものとする。
・事故物件→本物件は○○年に事件が発生したことを買主は承諾したうえで、本物件を購入するものとする。
・建築計画→南側にマンションの計画があり、日照環境が変わる可能性を了承して買い受けるものとする。
・埋蔵文化財包蔵地→建物建築時は、市の試掘調査を行います。試掘調査により、文化財が発掘された場合は、発掘調査を実施します。
発掘調査ついては買主の責任と負担で実施します。
その他、買主へ伝えておかないと引き渡し後に問題になりそうな項目をピックアップして特約事項に記載する。
【容認事項】
地盤地耐力調査等は実施の有無
※土地の売買で地盤調査は基本的に買主側で行うため、改良工事が必要な場合は、
買主の責任と負担で行う必要がある。
周辺の土地や建物の環境は変化していくため、
騒音・振動・臭気・日照環境、交通利便性は買主で確認してくださいというもの。
電波障害が判明した場合は、有料ケーブルテレビに加入しなければならず、
その費用(新規加入料や月々の受信料)は買主負担となるという内容
近年の異常気象(ゲリラ豪雨等)によって道路側溝の排水処理が間に合わず、土地が冠水する恐れがあるという内容
★引き渡し後の境界杭及び土地の維持管理は買主負担になるというもの
★都市計画法・建築基準法は現時点のものであり、
将来法令施行により利用の制限が負荷または緩和される可能性があるということ。
★対象不動産の税金に関しては、所轄の税務署へ税務確認を行い、媒介業者では責任を負いかねるという内容
★除染実施の有無と、実施されている場合、除染土は搬出済みかどうか、除染に関しては契約不適合責任に該当しない旨
容認事項については一般的なものの解説になるが、特約事項は売主・買主で了承したものになるため、
特別な取り決めを記載していきます。
特約は安易に不動産業者の準備したものを鵜吞みにするのではなく、
これで大丈夫だろうか?と、一歩踏みとどまって考えることが大切である。
最後の13ページ目は、「読み合わせをしました」ということで、買主の署名・捺印をする。
これで重要事項説明書の内容は完了となります。
お疲れ様でございました。