不動産価格の設定方法
不動産の価格は、最終的には売主が納得する価格で売りに出します。
不動産業者はその価格に出すための根拠を示すために存在します。
不動産の価格を決める場合、不動産屋さんに行く→調査→査定した結果をもとに売主で価格を決めるという流れで市場へ物件情報が出されます。
不動産屋さんは、宅建業法の中で価格を決める際は根拠を示さなければならないとあるため、
実際に成約した事例などを踏まえ、個別に物件ごとの特徴をわりだして不動産価格を査定し、売主に提示します。
想定としては3か月以内に売れる価格を設定します。
次に不動産価格と評価方法を説明します。
【価格を決める方法】
①固定資産税評価額
②路線価
③公示価格
④実勢価格
【不動産の評価方法】
①原価法
②取引事例比較法
③収益還元法
不動産価格は4つ存在し、評価方法も3つもあります。
宅建業者は不動産価格を決める際の判断材料として、案件に応じて査定を行う。
実際に売れるであろうという価格は、各価格の算出方法の特徴を踏まえ、個別に評価します。
例えば路線価の場合、土地の形状や位置関係などの個別の要素が反映されないため、
建物が建てられない土地でも、建物が建てられる土地と同じ評価になってしまうということがあります。
建物が建てられる土地と建てられない土地で同じ評価になってしまうのは、
不公平であり、なにより売れない土地ができてしまうため、
個別に評価(土地の形状、周辺環境などを参考に)を算出し、市場価格を算出します。
それでは、それぞれの特徴をみていきましょう。
固定資産税評価額
市町村で算出する固定資産税の基準となる価格のことです。
各自治体で個別に決定します。
評価額は3年に1度評価替えを行います。
固定資産税評価額は毎年4月~6月頃に、不動産の所有者へ納付される「納税通知書」か、
市町村の窓口で取得できる「評価証明書」で確認が可能です。
固定資産税=固定資産税評価額×1.4%で算出!
都市計画税=固定資産税評価額×0.3%で算出!
固定資産税評価額をもとに「固定資産税」、「都市計画税」、「登録免許税」も決まります。
※都市計画税は市街化区域の方のみ
だいたいの目安であるが、固定資産税評価額は時価の約70%になります。
路線価
路線価は国税庁が発表する道路に面する宅地1㎡あたりの土地の評価額になります。
路線価は相続税、贈与税、金融機関の不動産担保評価を行う上で、参考とする価格になります。
路線価は時価の約80%とされており、時価より低いことが多いです。
上記の点だけ、抑えておけばOKです。
公示価格
国土交通省が「地価公示法」に基づき、毎年1月1日時点での価格を公示しているものになります。
こちらも相続による売り急ぎなど、物件の個別事情は考慮されていません。
標準値の指定には、用途、環境、形状などが考慮されており、極端に大きい土地や旗竿地などの不整形な土地は標準地に指定されないので注意。
土地データは公示価格を参考に、わかりやすいサイト構成になっているので、こちらも参考に。
実勢価格
こちらはつまり市場価格。
つまりここは○○○○万円だよね?ってところですので、最も重要な指標になります。
上記の価格の算出方法を踏まえ、不動産の個別要因や個別事情(土地の形状や利用状況、周辺環境、建物の状態、売り急ぎ、心理的瑕疵など)を考慮して算出します。
以上が不動産の価格です。
次に不動産の評価方法についてみていきたいと思います。
原価法
不動産の評価方法は深追いすると、不動産鑑定士の範囲で難易度が激上がりするので、本ブログでは簡単な紹介程度にしたいと思います。
まず原価法だが、こちらは一戸建ての評価に使用します。
現在の建物と同様の建物を新築した場合の価格を計算し、減価修正(経年による建物や設備の劣化を評価額から差し引くこと)を行い建物を評価します。
これは覚える必要は全くないです。
取引事例比較法
こちらは主にマンションや土地の評価に適している。
周辺地域の成約事例をもとに、個別要素をわりだして算出する方法です。
例えばAマンションの501号室で売れた価格を参考にして、Aマンションの601号室の価格を考えるなど。
※不動産業者はレインズというもので成約事例の情報を見ることができる
※レインズとは「不動産流通機構」の会員のみ、つまり不動産業者のみが利用できる不動産情報のネットワークのこと。売却情報や過去の成約事例を見ることができる
収益還元法
収益還元法は、対象不動産が賃料により、将来生み出すと予想される収益から現在の不動産の価値を算出する方法です。
投資物件では、収益還元法を使います。
例えば家賃12万円、利回り10%の場合→(12万×12か月)÷8%=1800万円
期待する利回りをいくらで見るかで大きく評価額が変わります。
空室リスクや修繕の必要性などを考慮すると、地方で入居率が悪い地域や、古くてすぐにでも修繕が必要であると判断した物件は利回りが高いが、
東京の一等地で明らかに入居率が高く、かつ築浅で修繕等の心配がない場合は、利回りを低く見積もって不動産価格を算出します。
利回りが低くとも、最終的には売れる価格であれば良いのである。
こんな疑問もあるかと思うので、最後に不動産鑑定士の話をしたい。
不動産鑑定士は「不動産の鑑定評価に関する法律」をもとに、独自の鑑定理論を用いて不動産価格を算出する専門家になります。
法律に則り、正確な価値を評価する場面で使われます。
例えば不動産ファンドで投資家の判断材料で利用されたり、借地権関連で裁判で適正な地代を算出する必要がある場合は、
不動産業者の目利き力で算出した価格を利用されることはなく、法律に従って作成している不動産鑑定士の鑑定評価を利用します(不動産業者の私からすると悲しい!)
※ちなみに競売の売却基準価格も不動産鑑定士が算出します
鑑定評価は市場価格とは異なるため、鑑定評価の価格と売れる価格は違うという点に注意しよう。