このようなお悩みの方、これから就職活動で不動産業を目指している方、転職で不動業を狙っている方、こっそり不動産を学習している方向けの記事になります。
今回の記事は専門的な内容に触れるため、不動産学ではなく番外編になります。
自己紹介
宅地建物取引士を2019年に合格、取引士の登録をして土地・戸建て・マンションの売買仲介を数件経験。
はじめての物件調査のとき、調べても物件調査に関する記事が少なく、どのように調査をしていけば良いのか苦戦する日々が続いた。
また不動産について学ぶにつれ、不動産は業者に限らず一般の方こそ身に付けるものではないかと思いが募り、
不動産のことで悩む方々へ、解決できるヒントとなるような記事を書いている。
まずは基本!
マンションの重要思考説明書と契約書は「区分所有建物」用の書式を使うため、中古の戸建てとは異なる書式を使います。
まず確認したいのでは、「所有者は間違いないのか?」ということです。
これは戸建てと同じく、売主へ直接聞くのと登記事項証明書を確認する。
また調査は現地→市役所→ライフライン(電気・ガス・水道)→現地照会というのが基本的な方法です。
次にマンションの調査項目をまとめます。
これをコピーして各自で「調査事項一覧表」などの資料を作成していくと良いかと思います。
【現地の確認】
・セキュリティシステムの確認(オートロック・防犯カメラ)
・掲示板や管理人・清掃スタッフの業務態度
・エントランス・駐車場・駐輪場・集合ポスト・ごみ集積場
・エレベーター・非常口階段・消防用設備→安全面を確認
※消防用設備は6か月ごとの機器点検、1年ごとの総合点検がある
・錆びついた非常ベル 期限切れの消化器は要チェック
・外壁・廊下・階段・鉄部
・大規模修繕工事が計画的に実施されているか→管理会社からの重要事項調査報告書や修繕履歴をもとに確認
現地の確認事項は上記の通りであり、不安な個所はマンションの管理人さんへ必ずヒアリングするようにしよう。
管理人さん、管理組合の確認事項
またマンション管理人さんへヒアリングする内容は以下の項目です。
【管理人さんヒアリング事項】
・マンション内で問題になっていること(ペット・民泊・電波障害)
・住民間トラブル(騒音・臭気・ペット)
・事件・事故(自殺・他殺・盗難・火災・漏水)
・暴力団事務所の存在、暴力団員の出入り
・目的物件の周辺住民の内容(高齢者が多い?ファミリー層?ペット飼育者?)
・駐輪場・駐輪場の空き状況、空き待ち状況、使用条件
・駐車場の契約と解約関連の書類
・自治会・町内会・子供会の活動、費用負担
・ゴミ集積所の使用方法、ごみの分別方法
・宅配ボックスの使用方法、荷物の預かり、電話、インターネット環境
・入居手続き、内装工事届け出、名義変更等の書類
次に管理費と修繕積立金についてです。
管理費はマンション共用部分の維持、管理のために必要となる費用であり、
修繕積立金は将来的な大規模修繕工事のための積立金になります。
管理費は安ければいいものではなく、適切に管理がなされているかどうかで重要である。
修繕積立金は総額の大きさではなく、
今後予定されている大規模修繕工事のために金融機関からの借り入れ等を行わずに実施できるだけの積み立てがあるかどうかが大事です。
マンションに住んでいる方は住宅ローンを完済したとしても、
管理費と修繕積立金・駐車料金は住み続ける限り発生してきます。
区分所有建物の特徴ともいえる(これが嫌で、「戸建てがいい!」って方もいる)
大地震で、建物の主要構造物に損傷があった場合は、大規模修繕計画の見直しと修繕積立金の増額ということもありうる。
これらは管理組合の総会で決定されます。
管理組合の調査項目
管理組合調査は重要事項調査報告書と管理規約・使用細則、修繕履歴書、長期修繕計画書を管理会社から取り寄せます。
※これらの書類は一式で管理会社から郵送され、有料である。管理会社によって料金が異なる(約1万5,000円)
【管理組合調査】
・重要事項調査報告書→管理費・修繕積立金の額、滞納の有無、滞納がある場合は滞納額がわかる
・管理費・修繕積立金の改定予定
・売買するマンションのお部屋に管理費・修繕積立金の滞納はあるか→滞納があれば支払い義務は買主になる。
・管理規約・使用細則→リフォームの事前届け出がわかる、その他ペットの使用等の確認
・修繕履歴書
・長期修繕計画書→修繕積立金の改定予定があるかどうか
【その他確認事項】
・専有部分の用途制限→重要事項調査報告書、管理規約から確認
・ペット使用の制限→使用細則を確認
・フローリング規制→マンションによってはフローリング工事自体を禁止にしているところもある。また内装工事は事前に届け出が必要な場合もある。
・大規模修繕履歴→マンションの資産価値を評価するうえで最も大切な情報。金融機関の担保評価にも影響してくる。
・石綿(アスベスト)使用調査の結果の有無→重要事項調査報告書を確認
・耐震診断の結果の有無→重要事項調査報告書を確認
・管理会社の委託形態と管理会社の業務形態→全部委託か一部委託か?管理業者の業務形態(業務時間・定休日)、勤務形態(住み込み、日勤)
過去に管理会社の変更はあったかどうか。
・町内会費、その他費用(ステッカー代など)
自主管理のマンション調査
自主管理のマンションも中には存在します。
そのような場合はマンションを管理している「理事長」に確認します。
ヒアリング内容は、重要事項調査報告書や管理規約の内容を事細かに調査します。
ヒアリング内容をもとにルール事項を作成して、買主へ引き渡す。
最後に
以上の内容が、マンションの物件調査になります。
上記の内容のほかに、重要事項説明書には「都市計画法」や「建築基準法」、その他法令上の制限等の項目がありますが、
戸建てと共通する内容のため割愛します。
マンションの物件調査で困っている人、実務を知っておきたいという方は参考にしてください。