どのようにすれば良いのでしょうか?
今回は困った不動産を売る方法について考えていきます
不動産業者にも扱いたくない物件が存在します。
そのひとつは郊外にある不動産で、かつ売れない物件である。
もし検討したい方がいて案内をする場合は、物件近くの不動産業者にお願いするか、
もしくは直接現地へ行って、案内をする必要があり、郊外は現地へ行くにも労力がかかります。
相続などで無事引き継いだのはいいものの、不要な郊外の不動産を所有する方もいる。
一等地にあって、売っても貸しても利益の出るような物件であれば一番良いのだが、
郊外の物件で固定資産税だけがかかる「金くい虫のような物件」を相続すると大変だ。
今回はこのような「困った物件」に焦点をあてて、売る方法についてアプローチしていきます。
目次
困った不動産とはどのようなものか?
今回の困った不動産の定義は、「売れない物件」と定義づけます。
価格が高額すぎて売れないのではなく、むしろや安いほうなのに、なかなか買い手が現れないという物件です。
では、どのような物件が売れない物件なのかをみていこう。
【困った不動産一覧】
・相続された郊外の物件
・道路に接していない土地
・違法の建物(違法建築物)
・事故物件
・権利関係が複雑な物件
・地目が農地である物件
・台風の被害で浸水被害を受けた物件
不動産において重要なことは、「売れない物件は存在しない」ことである。
あらゆる不利な条件でも、その物件を欲しいとしている人は必ず存在します。
時間はかかるが、時間を利用すれば売れる可能性も残されてるので、あきらめずに物件を売るという目標と向き合っていただきたい。
上記の条件のある物件は、不動案会社でも積極的には扱いたくない物件だ。
しかし条件によっては売れる物件に化ける可能性もあるのが不動産のおもしろいところだ。
どのようにして売るのか?
では次に、具体的に困った不動産を売る方法を解説していく。
物件を売るアプローチ方法は、物件の立地や形状、周辺環境等で異なるため、
例を交えながら解説できればと思う。
売りたい物件が郊外にある場合
物件が郊外にある場合は、まず各地の「空き家バンク」に登録することをオススメします。
空き家バンクとは、NPO法人や各市町村単位で運営がされており、空き家を問題を解決するべく、活動している団体です。
空き家バンク登録物件の購入者へ補助金が使える特典や、移住したいという熱い声があると、
空き家バンクに登録されている物件を紹介していただいたりと一般的なポータルサイト以上に選ばれる可能性があります。
ここを活用しない手はない。まずは近くの空き家バンクに相談して登録しよう。
郊外の物件の場合は、どんなにリフォームしても物件の価格を上げることは困難なケースが多い。
むしろリフォーム分の価格が上乗せになってしまうため、
購入者に好きなようにリフォーム・リノベーションができるように、売買価格を設定した方が得策かと思われます。
賃貸住宅として借り手をつけてから売却する方法
これも地方の物件で有効な方法である。
物件を「貸家」としてリフォームし、借り手をつけてから利回り「○○%」という計算をしたうえで、
本来売れる価格より、「入居付け」をしたあとに投資物件として売ることで売却価格が上がる可能性がある。
例えば一番コストのかかる外壁の塗装の状況や次にコストのかかる水回りの設備が良く、
すこし汚れのある床・壁・天井のクロスの張替えをしてリフォームを行い、入居付けをする。
本来350万円で売る予定の物件を100万円でリフォームし、家賃6万5000円で貸し出す。
そうすると利回り10%の物件だと780万円で売ることができて、当初の予定より高い価格で売ることができるのである。
しかし物件によっては「外壁塗装」が必要だったり、
「ユニットバス交換、洗面台交換、トイレ・キッチン交換」が必要な物件も数多くあるため、
だいたいのコスト感覚をつかみ、実際に見積もりをとったうえで、家賃設定と入居付けが決まった段階の売価価格を設定します。
再建築不可の物件の場合
再建築不可の物件は道路の接道義務(幅員4m以上の建築基準法上の道路に2m以上接すること)を満たしていないことが原因です。
その場合は隣地から土地を借りて2mにするという方法があります。
これは隣地所有者の同意と土地の賃貸借契約を結ぶ必要があるが、「自分の土地が2mないので再建築できない!」とあきらめるのではなく、
「隣の方の土地を借りて接道義務を満たせないだろうか?」と考えることが重要だ。
プライベート入札
プライベート入札とは、その物件を買ってくれそうな不動産会社や建売業者、デベロッパー、ハウスメーカーなどに声をかけて、
入札方法で売却していく方法である。
プライベート入札は建売住宅が何棟か建てられそうな広い土地やアパート、分譲マンション、戸建てなどで有効に使えます。
プライベート入札は不動産業者が買ってくれる業者をある程度分かっている場合に力を発揮します。
これは個人で実施するものではなく、プライベート入札を行うことができる状況なのか?を不動産会社へヒアリングし、
入札可能であれば不動産会社へ依頼して入札を開始します。これは高く売る裏技的なものであり、
不動産会社を挟む必要があるため、少し手間がかかるが、この方法が使える場合はどんどん活用しよう。
売るまでに時間を要する物件
これまで様々な方法をご紹介したが、
売るまでにどうしても時間を要する物件がある。
それは浸水被害のあった物件や事故物件、権利関係が複雑、農地の物件などが該当します。
浸水の被害のあった物件を例にする。
福島県では令和元年10月の令和元年東日本台風によって、阿武隈川が氾濫し、阿武隈川周辺のエリアは深刻な浸水被害を受けました。
水害ハザードマップの想定以上の浸水被害があり、新しくハザードマップの浸水想定区域の仲間入りをした地域もあります。
次年度の地価公示価格では、浸水した地域は激しい地価の下落が起こった。
浸水のあった建物を売りたいという相談があり、公費で建物を解体することができたため、更地引き渡しという条件で売却活動をしていたが、
物件を購入したい人は「浸水被害があったという情報を知っている方は、ここは水害の被害は大丈夫なところですか?」とまず最初にヒアリングに入るため、
なかなか物件を紹介できない状態が続いた。
今もなお、厳しい環境が続いているが、一部ではすでに新築を建築しているところもあります。
彼らからすれば、「土地が安く購入できてラッキー」という程度にしか思っていないだろう。
我々不動産業者はもちろん事実を隠すようなことはできないのでしっかり説明をします。
浸水被害は物件購入する重要な判断材料になるため、「ここは約○mほどの高さまで浸水被害がありました」と告知する義務があります。
納得したうえで購入しないと、後々揉めることになります...
浸水被害や事故物件は売却までには時間が必要です。
しかし人間の心理は5年でガラリと変わるということを理解しておけば良い。
2008年のリーマンショックで大不況に陥ったにもかかわらず、5年後の2013年にはアベノミクスで不動産投資も追い風を吹き、
多くの人が5年前はリーマンショックがあったことを忘れていくかのように大家さんデビューを果たした。
今は新型コロナウイルスによる不況という世の中の空気を感じるが、5年後にはまた新しい風が吹き、
新型コロナウイルスが忘れ去られるように、経済が活性していくであろう。
次は権利関係が複雑な不動産の話になります。
代表例は共有名義の不動産です。
不動産の共有名義はなにかと揉める原因になります。
なぜなら共有名義の不動産はなにをするにも、共有名義人の全員の同意が必要であり、
ひとりでも反対する人がいると前に進めなくなるのだ。
つまり売りたいタイミングで鵜売却活動ができない場合もあり、貸家の利用についても反対の者がいれば、
貸家の利用もできなくなります。
不動産の共有名義は、住宅ローンをペアで組んだり、相続で共有名義で相続した場合に発生してきます。
こうした複雑な権利関係については、不動産会社もお手上げとなってしまう。
最後に農地の話をします。
農地とは地目が「田」や「畑」の土地のことを指します。
農地については、市街化区域内の農地であれば、売買時に農業委員会へ農地転用の届け出をして宅地に変更します。
しかし市街化調整区域の場合は話は別です。
市街化調整区域の農地は基本的に農業をやる人しか購入できません。
農地を売る際も農業委員会の許可が必要になり、許可が出なければ売ることも貸すこともできないのである。
農地には実は大きく2つの種類があります。
農業以外に転用できない土地(農用地)と農業以外の用途にも転用できる土地です。
前者の農用地が農業専用となり、後者の場合は農地として貸したり、
資材置き場、太陽光発電、風力発電の土地として売却したり、貸したりすることができるため、利用の幅が広いということを抑えておこう。
今回はざっと困った不動産について触れました。
最後に繰り返しになるが、「売れない土地」は存在しません。
その土地はどんな事情があろうとも、必ず条件によっては欲しい人が現れます。
場合によっては時間を要する可能性もあります。
しかし不動産の売り方を理解していれば、損する可能性もカバーすることができます。
この記事を読んで、困った不動産をお持ちの人が問題解決に繋がるきっかけとなることを切に願う。